エアコレクト

エアコレクト
訪れた古本屋の写真をスマホに撮ってエアコレクトするという習慣をはじめた。ついでだからツイッターにもアップロードをはじめた。

ちなみにエアコレクト、エアコレクターとは、類似性のある地形や看板、食べたラーメン等と言ったいわゆる「自宅に持ち帰って保存することが不可能なものを写真などのデータ形式に収めてコレクションする」という行為。発祥は恐らくブログ『蒐集原人』のとみさわ昭仁さん。
みんなもソシャゲのカードを集めたり、ブログや創作、二次創作SNSの作品をブクマしたりするよね。あれもエアコレクトの部類に入る。

なぜ古本屋をエアコレクトし始めたのか? 友人に昔影響を受けた本を購入した古本屋を説明する時にことごとく潰れていた店が非常に多かった為に「なぜ俺は記録しておかなかったんだろう」という後悔の念から「じゃあ、いまのうちにはじめとくか」と思い立ってはじめたものです。
あと、ぼくはブックオフも近場の古本屋として結構利用するんだけど零年代後半くらいかなあ。なんかブックオフがすごい店舗を増やしていた時期があったんですよ。で、そのなかには買うような本は置いてないんだけど、普通のマンションの一階にブックオフの店舗がテナントとして入って居たり、潰れかけのショッピングモールにテナントとしてブックオフが入ったんだけど、田舎なので異常に狭い上に品数も極端に少ない、という存在理由がよく分からないおかしなブックオフも結構あって面白かったんですね。でも十年代後半からブックオフ縮小のあおりを受けてどんどん閉店していったんですよ。
今思い出すと「あのブックオフは変な立地条件にあって買うものもなかったけど都筑道夫の文庫だけは異常に充実していたなあ」とか「山のど真ん中にブックオフがあったけど、入荷状態が変に良くてハヤカワNVの『モダンホラーシリーズ』がほぼ100均で揃ったなあ」とかなかなか味わい深いものがあるんだけど、いま現地に足を運ぶと全部なくなっているんだよね。不況の影響とかあるのかなあ。本も売れないし。
古本屋は出版業界の最底辺だしね。そういうのモロに食らうと思う。
で、まあ、せっかくスマホの時代でもあるし、思いついたらその場で写真も撮れるし古本屋のエアコレクトはじめました。
旅行でも行くことになったら事前にグーグルで周辺の古本屋を調べて、現地ではスマホのグーグルで再確認してどんどん写真に撮っていくよ。

エアコレクト弐
んで、神戸に遊びに行った時に上崎書店と昇平堂書店に行ってきた。早速エアコレクト。これも特殊な古本屋なのでついでに紹介するね。
写真は上崎書店。

写真の上部を見て頂きたいんですが、給水か排水パイプっぽいものが剥き出しの状態で走っていますよね。保温剤巻いてないし、ボックスがあるから電送管かもしらんけど。ついでに柱も剥き出し。
実はこの店、地下鉄の地下街の廊下の端に本棚を延々と並べただけのちょっと構造がオカシイ店なのだ。
んで写真には撮らなかったんだけど、本屋の対面には何故か卓球台がずらーっと並んでいる。
同じ地下街には値段設定が昭和のまま止まったコーヒー一杯二百五十円の喫茶店があったり、昭和から営業している床屋が組み込まれていたりする。
つまりこの上崎書店は昭和高度成長期時代にサラリーマンが会社の帰りに床屋に寄ったり、気分転換に卓球をしたり(手軽な娯楽)、コーヒーを飲んだりするついでに利用するような店だったのだ! おそらく! それがそのままの形で平成二十七年の現在に残っているのである!
そんな時代から半分置いてけぼりにされたような店の棚には函物のおそろしく色あせた本が全体の九割を占めている。恐らく昭和時代から全く品が動いていないのだ。全集も揃いが紐で括られて無造作に積んである。
かといって置いてある本は現在の古本相場では屑価値レベルのものが多い。いや、ぼくは古本道を極めてないので実はすごい本が埋まっている可能性も否定できない。高度成長期時代から品が全く動いていない気配だからな。現にこの店は古本界隈では老舗らしく、ツイッターに写真をアップロードしたところ、とみさわ昭仁さんと柳下毅一郎さんと共に酒を飲みながら古本屋をまわるせんべろツアーを行ってる安田理央さんから「神戸の上崎書店ですか」とのリプライ。え、安田さんは東京じゃん。この店、そんなに有名なの……。いやあ、まあ、説明したとおり、ちょっと構造とか品揃えとか、平成の時代におかしいわな……。

とかこんな変な体験も出来るので、エアコレクトは楽しいよ! 


上崎書店の隣にある昇平書店。


泉堂書店は休みだった。残念!

心境の変化など。
ここ最近、加齢がひどくなったせいか、死を異常に考えるようになってしまった。
結果として「自分の楽しみを優先したい。だから各自が何かをするのは勝手だけど俺の邪魔だけはするなよ」とかいう偏屈ジジイみたいな思考になってきた。あー、偏屈ジジイってこうやってつくられていくのね。
すごくネガティブな言い方になったけどポジティブな言い方をすれば「好きな事をするのに他人の視線や評価を気にしなくなった」という事で、旅行に出かけたり、イベントに参加したり、そういうのが非常に多くなりました。

閉じてるんじゃないんですか? と言われればそうではない。口に出さないだけで、ぼくの脳内では常にサラエボベイルート、シリアの内紛が渦巻き、ヨーロッパが難民化する、という事を考えている。一方でブックオフスマホでパシャパシャ撮ったりしていて、非常にチグハグなのだが。
でもみんなもそうなんじゃないんですか。テロがあったって仕事にはいくし、ブックオフは営業しているから古本を探す。LINEで友人と旅行の計画を練る一方で別の友人の親が死んでいく。近所の家から母親の怒鳴り声と子供の泣き声が響いてくる一方で、どこかの戦場では少年兵がAKで大人を撃ち殺している。
池澤夏樹っぽく言えば我々が視ていなくても風が吹けば椰子の葉は揺れるのである。
椰子の葉が揺れるごとに騒ぐのもそれはそれでいいし、いまは椰子の葉が揺れようが他に優先したいことがあるのならそっちにかかわっていればいいじゃないですか。世界に椰子の木が何本あると思っているんですか。椰子の葉が揺れる毎に反応するなんて不可能ですよ。
思考=口に出す、ではない。必要があった時に自分が出来る必要なアクションをすればいい。その時が来ても「その前にアレしときゃよかったな」と後悔しないようにやりたい事をやっておく。「その時」は誰にでも平等に理不尽に舞い降りる。それが「死」である。
まあ、死ぬとまでは行かないまでも、日常レベルで考えると、仕事が次第に忙しくなって自由が利かなくなる場合だってあるし。
こう書くと全力で生きているっぽいポジティブなイメージが醸造出来てしまうが、「死」「遊べるのはいまだけ」が動機づけになっているので、平たく言うと刹那的ではある。自棄を起こさないように気を付けたいですね。

ヴァルキリードライヴプロジェクト
ヴァルキリードライヴマーメイド』がアツい! 兎に角、このアニメ、徹底的に「押さえてある」のだ。
シナリオやキャラクターはもちろんの事、音楽や作画など徹底的に基本を押さえている。ものすごく教科書的な方針を応用力で魅力的に魅せるのに成功している。レズビアン描写、過剰なエロス、ドタバタ展開などともすれば「バカアニメ」で止まりそうな題材を徹底的に基本を押さえることで視聴者にアピールしている。観て欲しかったら観て貰えるようにとにかく押さえられる基本は全部押さえている。安定感がある。
んで、ポルノ描写も激しいのだが、おっぱいや股間は光で徹底的に隠す。このアニメはエロ要素も重要なポイントなのでそこは外せない。でも光で隠せば大丈夫。地上波で放送出来る。保守層から変ないいがかりをつけられる可能性はないし、いわれもない。
金子ひらく監督は表現者としてそれでいいのか! いいのである。ヴァルキリードライヴマーメイドは地上波では映像にマスキングが掛かっているが、ソフトを買うか、有料CSで18歳以上ならアダルトコンテンツとして扱われるので光で隠されることもない。金子監督は地上波で自分の映像が規制されてもそんなに痛くないはずだ。
ふと思い出したのが、リドリー・スコット監督作品だ。リドスコ作品はガンガンに修正やシーンのカットが入りまくりで時としてシナリオが本来のものより全く変わってしまう場合があるが、リドスコはそんな事は気にせず、どんどんプロデューサーのいいなりになってカット、修正を入れまくる。リドスコはディレクターズ権限を獲得しているので、とにかく劇場公開に漕ぎつけた後はソフト化する時に周囲の目を気にしないで自分好みに変えらるのである。
ので話を戻すと、ぼくはこのアニメを「馬鹿な百合厨のために頭のいい人達が作った作品」だと思っている。
「百合厨のための作品」と書いておいてなんだが、実はこの作品は百合厨のためだけの作品ではない。
例えばキャラクターを要約してみよう。

・敷島魅零「生体兵器・シスコンをこじらせている・ギャル・バカ正直・レズ」
・処女まもり「「処女」と書いて「とこのめ」と呼ぶ名前・若干いじられ気味・細かい事は気にしない・背が低いのに敷島魅零より年上・ノンケ」
・時雨霞「眼鏡・ショートヘア・タイツ・格闘家・妹気質・レズ」
・シャルロット・シャルゼン「女王様・権威主義者・自由奔放・ポンコツ・性的アピールが過剰・レズ」

一部だけだが、この羅列された要素を観ていい感じに「うっ」とくるひとも居る筈だ。この「うっ」と来たひとにばっちりハマるアニメなのである。
勿論、百合厨向けにもいいアレンジがなされているのだが、どうもSNSでの動向を見ているとBL好きだがヴァルドラにハマって百合に来ちゃった腐女子のひとも少なからずいるようだ。SNS上でBLとは別にわざわざヴァルドラ専門のアカウントを作っている人もいる。彼女達の発言を聞いていると、レズビアンの物語なのにBL的な要素も入っているらしい。
もう直ぐ最終回である。第二期が非常に待たれる作品である。

映画
二ヵ月間ブログを放置していたので映画の感想が溜まっている。長くなるのでこれは次回更新に振りますね。