『ニャル子さんからはじめる超初心者向けクトゥルー神話』
- アーティスト: 後ろから這いより隊G
- 出版社/メーカー: エイベックス・ピクチャーズ
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: CD
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- 作者: 逢空万太,狐印
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2009/04/15
- メディア: 文庫
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とりあえず、細部のネタとかそういうのは全部偉いサイト様に任せて、クトゥルー神話とはなにか、とか、クトゥルー神話って何から読めばいいのって人向けにとっつきやすく、ニャル子さん、クー子、ハス太が出てくる神話作品のタイトル、その作品はどんな本に納められているか、そういう超初心者向けのやりますね。
- クトゥルー神話って何?
アメリカのド田舎プロヴィデンスに住んでいた作家、H・P・ラヴクラフトがはじめたシリーズです。略してHPLって呼ぶのが通です。
なんかニャル子さんもHPLって呼んでますよね。CIA、DEA、SAS、SRF、SDA、CMIとかと一緒でかっこいいですよね。
クトゥルー神話はHPLが最初から企画してやってたわけじゃありません。もともとラヴクラフトは日本で言うところの「少年ジャンプ」とか、「少年サンデー」、「ガンガン」あたりに該当する読み捨て雑誌の小説版、いわゆるパルプマガジンと呼ばれる安雑誌「ウィアード・テールズ」の常連寄稿者でした。「ウィアード・テールズ」はパルプマガジンのなかでもホラー色が強い雑誌です。
価格は25セントだったので、現在の時価に直すと500円くらい。価格も漫画雑誌とほぼ同じです。
ぶっちゃけ家がそこそこ裕福なので、ラヴクラフトは職につかず、この「ウィアード・テールズ」に寄稿していました。古典を読み込み、文才もあったのでかなりの高確率で雑誌に採用されています。普通の無職と違うところです。
ラヴクラフトは、古典の小ネタや昨日の晩見た恐い夢などを増幅させて悪夢的あるいはファンタジーな小説を書いていました。
大昔に地球を支配していた異形の生物が現代によみがえる、あるいは宇宙や異次元からやってくる、みたいな感じがフォーマットです。
「ニャル子さん」が宇宙人設定の癖に異次元に入りこんだり、妙に地球の神秘関連と繋がりがあるのはこの影響下にあります。
それが「この作品とこの作品、リンクさせよう」みたいな感じになってきます。
これが後にクトゥルー神話と呼ばれるものです。
いつの時代にもマイナーな作品にも必ずファンがつきます。ラヴクラフトも例外ではありません。
彼の元にはファンレターが舞い込みました。このへんも普通の無職と違うところです。
ラヴクラフトは正直なのでファンレターにいちいち細かい返信を送っていました。
これが功を奏して定着ファンがつきます。
正直過ぎたので雑誌を読んだときでも「これは面白いなあ」と思った作品の作家にもいちいちファンレターとか送っていました。
無職なので金にも困ります。ラヴクラフトは小銭稼ぎの為に小説の添削を行いました。
その際、「オレのネタもちょっと入れていいだろ?」的なこともしています。
また「先生がこないだ仰っていたあの本が読みたいんスよね」的な手紙には古本屋で重複購入した本を送ったりしています。
結果として、彼と親交を深める中堅、新人作家が大量に生産されます。
ロバート・ブロック、R・E・ハワード、C・A・スミス、オーガスト・ダーレス、フリッツ・ライバー、数えるとキリがありません。
ちなみにロバート・ブロックはヒッチコックの映画『サイコ』の原作者です。ハワードはシュワルツネッガーが剣を振りまわしていた映画『コナン・ザ・グレート』の原作者。
天才の元に多くの才人が集まる、というのは「トキワ荘」っぽいのですが、生前のラヴクラフトは成功者とは言い難く、むしろ周囲のほうが有名になっているので、手塚治虫というよりは寺田ヒロオのポジションに近いです。
この連中は「アーカム一派」と呼ばれます。
1928年にラヴクラフトは一連のクトゥルー関連の小説を「アーカム物語群」と呼称します。
彼の元に才人が集まります。トキワ荘よろしく、皆が各地で小説を書きはじめました。
それらは主に「ウィアード・テールズ」あたりに採用されます。
この時点でラヴクラフトの「クトゥルー神話」にもそれなりの形みたいなものが出来てきました。
しかしまだ断片的です。
そこに友人作家が
「オレ、今度小説書こうと思うんスけど、先生のネタちょっとつかっていいスか?オリキャラ作ったんです」
みたいな手紙を寄こします。
人のいいラヴクラフトは「全然OK」と快諾。
意識的に設定を無断借用する場合もありましたが、ラヴクラフトもやぶさかじゃないです。
添削も続行していたので修正の際に「クトゥルー関連の名前入れようぜ」的な真似もしました。
これがクトゥルー神話の拡散に繋がります。
そうしているうちに1937年。ラヴクラフトは一生を終えました。病死。その間に結婚したりしましたが、離婚しています。
子供はいません。
残されたアーカム一派は呆然。
弟子の一人であるオーガスト・ダーレスが
「そういえばうちの先生の作品集ってとうとう一冊も出なかったな。あんなに書いたのに」
という重要な事実にようやく気が付きます。
オーガスト・ダーレスは成功者の弟子のひとりです。多才だったのでドナルド・ウォンドレイと一緒にアーカム・ハウス出版という出版社を作りました。
ここからダーレスは当時コアだったホラー作家のレア限定本をいくつも出版。
海外、日本を問わず、ホラー好きを名乗りたかったらアーカムハウスの本を一冊は持ってるのが常識、というホラーオタのステータスシンボルになります。
ちなみにさっきから「アーカム」を連呼していますが、「アーカム」っていうのはラヴクラフトの小説とかに登場する架空の都市の名前です。マサチューセッッツにも同じ地名がありますが、クトゥルーは書籍や現実の固有名詞をフィクションとして使用することが多いので現実と混同するのは避けた方がいいです。
アメコミ『バットマン』に登場する精神病院「アーカム・アサイラム」や「アーカム・シティ」の元ネタはここです。
ニャル子さんもモンハンを模してアカムトルムとか言ってますけど、語源はここです。
ともかく、ダーレスはアーカムハウス出版からラヴクラフトの作品集を出版。
ここでようやく評論家の目に留まります。宇宙規模で書かれた恐怖小説を「あっ、なんかすごい」と思った評論家たちは絶賛。
もう本人は死んでますけどね。
さらにダーレスは「クトゥルー神話」を判り易く改変して基本設定を作成し直しました。
この設定にのっとってダーレスが新しい小品を作成していきます。
この基本設定変更は、熱心なマニアの間で現在も賛否両論です。
「ラヴクラフトの崇高な設定をレイプするとはけしからん」
という原作厨から
「判り易くなった分、一般普及しやすくなっていいだろ」
という所謂ゆるオタまで様々。
ともかくダーレスが再定義した「クトゥルー神話」は評論家のラヴクラフト絶賛の後追いもあってさらに拡散します。
それは時代、国家を超えて広がりました。代表的なホラー小説家はだいたい、ラヴクラフトにやられています。
アルジャーノン・ブラックウッド、H・P・ラヴクラフト、アーサー・マッケン、M・R・ジェイムズ。
これが海外ホラー界のセミ・クラッシックです。これ以前はポーとかラドクリフあたりです。
日本の作家もこのあたりにやられていると踏んで間違いないです。
黒木あるじとか、アルジャーノン・ブラックウッドの名前パクってます。
朝松健とかそのままアーサー・マッケンですね。そんな感じです。
「ニャル子さん」の逢空万太もその一人です。
ニャル子さんは原作厨派か、ゆるオタ派か。どちらかというと、ゆるオタ派です。
クトゥルフTRPGや過去のPCゲームなんかの影響も受けているので、かなりハイブリッドな仕様です。
有名な「SAN値」はクトゥルフボードゲームの影響です。ラヴクラフトのクトゥルー神話には一切登場しません。
- なんで「クトゥルー」って呼び方が色々あるの?
クトゥルーは英語のつづりで「Cthulhu」コレ、綴りを書くことは出来ても正確に発音できません。
これが今巷に「クトゥルフ」 だの「クトゥルー」だの「ク・リトル・リトル」だのといった様々な呼称を発生させている原因です。
発音不明っていうとカッコイイし、書簡を読むとラヴクラフトもその辺を気に入ってたみたいです。
後続の作家も「なんか、いいな!」みたいな扱いです。「発音不可能」ってホラー向けの設定ですよね。
これにはアメリカという多国籍国家の背景があると僕は推測します。
とにかくアメリカは色んな人種が集まっている国です。結果、色んな言語が混ざって英語が形成されていきました。
止めに聖書はギリシャ語です。
当然、綴りはあるけど、実際には発音不可、とか一部では意味は通じるけど、マイナーすぎて誰も知らない、という単語も発生します。
「Cthulhu」もこうした経緯の延長線上にあると思われます。古典が好きなラヴクラフトは色んな国の書籍に通じていました。
まあ、普通に「クトゥルー」でいいんじゃないですかね。
ちなみに呼び方にこだわるひとは、ダーレスの原作レイプに憤っているひとと同様、マニアとして扱われます。
あなた独自の呼び方を開発してみるのもいいですね。
- ニャル子さんとクー子、ハス太はどの作品に出てくるの?
最後に這い寄り隊に萌えてしまうだけでは飽き足らず、彼女達が劇中言及する「別の姿」を拝見したい方向けに、彼女達を収録した作品群タイトルです。
これでもっと萌えてください。
表記は
(全集→創元推理文庫版「ラヴクラフト全集」)
(定本→国書刊行会版「定本ラヴクラフト全集」)
(クトゥルー→青心社文庫版「クトゥルー」シリーズ)
(真ク→国書刊行会版「真ク・リトル・リトル神話体系」シリーズ)
(新ク→国書刊行会版「新編:真ク・リトル・リトル神話体系」シリーズ)
その他の出版社は各項に明細表記。
現在、書店や古本屋で比較的入手が容易い書籍のみピックアップしてます。
品切れ、絶版の場合は古本屋に行くか、ネットの古書店、アマゾンのマーケットプライスで検索してください。
2013年5月現在、品切れ、絶版扱いは
「定本ラヴクラフト全集」
「真ク・リトル・リトル神話体系」
「ビアス怪異譚」(創土社)
「アーカム計画」(創元推理文庫)
です。
「新編:真ク・リトル・リトル神話体系」は「真ク・リトル・リトル神話体系」の再販版です。
著者は割愛。
ニャル子(ニャルラトホテプ:ナイアルラトホテップ)登場作品
「ナイアルラトホテップ」(全集5巻)(定本1巻)
「壁の中の鼠」(全集1巻)(定本2巻)
「尖塔の影」(クトゥルー7巻)
「アーカム計画」(「アーカム計画」ロバート・ブロック著:創元推理文庫)
「魔女の家の夢」(全集5巻)(定本6巻)
「無貌の神」(真ク4巻)(新ク2巻)(クトゥルー5巻)
「暗黒のファラオの神殿」(クトゥルー3巻)
「闇に棲みつくもの」(クトゥルー4巻)
「蠢く密林」(真ク6-2巻)(新ク7巻)
「闇をさまようもの」(全集3巻)(クトゥルー7巻)(定本6巻)
「未知なるカダスを夢に求めて」(真ク5)(定本3巻)(全集6巻)
「這い寄る混沌」(全集別巻-上)(定本3巻)(註:それっぽくイメージされるだけです)
クー子(ツァトゥグア:クトゥグア)登場作品
「サタムプラ・ゼイロスの物語」(クトゥルー12巻)
「七つの呪い」(クトゥルー4巻)(「ヒュペルボレオス極北神怪譚」クラーク・アシュトン・スミス著:創元推理文庫 )
「魔導士エイボン」(真ク3巻)(新ク2巻)(クトゥルー5巻)
「墳丘の怪」(真ク10巻)(新ク1巻)(クトゥルー12巻)
「暗黒の儀式」(クトゥルー6巻)
「ツァトゥグァへの祈祷文」(「エイボンの書」クラーク・アシュトン・スミスその他著:新紀元社)
「ツァトゥグァ」(「エイボンの書」クラーク・アシュトン・スミスその他著:新紀元社)
「汝の敵を打つ為にツァトゥグァを招来せし法」(「エイボンの書」クラーク・アシュトン・スミスその他著:新紀元社)
「裏道」(「ラヴクラフトの世界」アンソロジー:青心社文庫)
ハス太(ハスター)登場作品
「カルコサの住民」(クトゥルー3巻)(「ビアス怪異譚」A・ビアス著:創土社)
「羊飼いのハイータ」(「ビアス怪異譚」A・ビアス著:創土社)
「闇に囁くもの」(全集1巻)(定本5巻)(クトゥルー9巻)
「ハスターの帰還」(クトゥルー1巻)
「永劫の探究」(クトゥルー2巻)
「イタカ」(クトゥルー12巻)
- 作者: 黒史郎,コバシコ
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/01/13
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- 作者: 静川龍宗,森瀬繚,文倉十
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/06/10
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