女子高生スパイまんがまつり

スパイ、諜報モノ(冒険モノ)の本質とは、頭脳、肉体共に己の能力の限界までシノギを削り合うプロフェッショナル同士の闘いである。

という訳でスパイという存在を扱った物語とは、一部を除いて実は敵と政治はほぼ接点がない。記号化された殺しと情報収集、破壊活動のプロフェッショナル集団がなんらかの目的を求めて世界を彷徨う物語なのだ。
要はスパイの敵っていうのは北朝鮮でもアルカイダでもアメリカ合衆国でも旧ソビエトの残骸でもナチスの子孫でもIRAでもメディア王でも、アフリカの独裁者でもなんでもいいのだ。雑なまとめかたすると。物語の援用でしかない。
主人公もスパイ能力さえ維持していれば、一般人でもなんでもいいのだ。つうか、映画『96時間』のリーアム・二ーソンも退役してる一般人じゃね? 『ニック・シリーズ』アンディ・マクナブのニックも退役してるよね?どっちも娘守る為に闘うし。
80年代冒険映画の金字塔コマンドーでさえこの設定なんだから。
故にこれらさえ維持できれば俺様のなかではなんでもスパイなのだ。
という観点を据えて見ると、おい、なんだか最近の漫画は、スパイものが、さらに女子高生がスパイなのが多くね? みたいなスパイバカにとってはちょっと嬉しい状況が続いていますよ!奥さん!ご存知でした?

ヨルムンガンド「武器商人の目標は世界征服」という宣伝文句で売り出した。結果、勘違いした人達(俺含む)が「個人が世界を革命する漫画だ!」ついカッとなって叫んでしまう羽目に陥ってしまう。んが完全に趣味に走ったデストロ246を読めば分かるが『ヨルムン』も『デストロ246』と同じ諜報ものが描きたかったのだ。
キャッチフレーズの「目標は世界平和」はハッタリ。高橋はおそらく『ヨルムン』の時からずっと諜報モノが描きたかったのだ。
あるいは人を殺すことになんの躊躇もしないノワールを。
『Ordinary±』の時点で僕らは気付くべきだったのだ。
そもそも『ヨルムン』自体が世界を股に掛ける諜報合戦でしかない。ココもあらゆる言語がペラペラのスパイ設定
ブリーフィングシーンもたっぷりあるし、個室で契約書の取引をしていたら裏で作戦が進行中という会議室シーンもある。
狙撃シーンも、破壊活動も、情報戦も要人拉致もてんこもり。
デストロ246』は『ヨルムン』でやった世界規模のスパイ合戦を日本国内に縮めただけなのだ。
おもらしもあるしね。おもらしはスパイに重要ですよ。
伊万里も記憶が操作されてるっぽい。翠も藍も見事に条件付けされちゃってる。苺とレズレズしい部下達も麻薬の売人。苺を『ヨルムン』に出演させたら、この子のポジションは麻薬カルテルあたりに落ち着くはず。
肉弾戦と銃火器がメインの『デストロ246』はラドラム原作『暗殺者』マット・デイモン主演ジェイソン・ボーンシリーズ』の女子高生ヴァージョンをやっているじゃなかろうか。
え?イケてない僕が本当は世界最強のスパイ?という限りなくボンクラな設定を、え?可愛い女子高生が本当は世界最強のスパイ?というやはり限りなくボンクラな設定に置き換えただけなのだ。
映画版『ボーン・シリーズ』でイケてないゴリラみたいな風貌のマット・デイモンがJBに選ばれたのには、それなりに理由が存在したんである。
同時に『デストロ246』で伊万里たちが萌え美少女なのも、それなりに理由が存在したんである。

  • 『制服DUTY』山崎童々

あっ、『咲-Saki-が連載されているヤンガンでまた変な漫画がはじまった!と思ったらスパイ漫画だった。
制服と体操服姿で闘うとか、異能力でスパイ合戦とか色々あるけど、設定がゼロ年代からはじまった世界大冷戦」って完全に国家と集団を記号にしちゃってる時点でああ、もう異能力スパイのスパイ合戦が描きたいだけなんだ、みたいな感じですよ。山田風太郎の「忍法帳シリーズ」を架空の現代でやりたいんだなと。
星栞が可愛いのよ。ちょい少女漫画の造形はいってる眼鏡っ子とか俺は弱いから。
『制服DUTY』の今後の展開として「PMC」や「愛国者」「暗殺」「麻薬」「情報」「テロリスト」「要人」等の単語が頻出すると思われます。
個人的には咲-Saki-最初に読んだあと、『WORKING!!次に読むか『制服DUTY』次に読むかちょっと迷うくらいの注目度。

スマン。俺原作読んでない。つーか、ヤンガンに載ってたから読んでる。あんまり詳しくないので語れません。
アニメも人気あるみたいだから紹介いらないだろ。(くぎゅが)
これはもう国家とか政府とか、完全にスルーしてキャットファイトに落としこんだ感ある。
だから別にアリアが銃火器とかぶっぱなしても無問題なんである。
『制服DUTY』と同じくヤンガンってところがヤンガンの罪を重さを語っているような気がしないでもない。
もう政治的バックボーンを説明する気が全くなく、キャットファイトを観る為に特化されたような作品。
すいません。漫画版で判断しています。間違ってたら赦してください。

  • 『ちょっとかわいいアイアンメイデン』原作:深見真・漫画:α・アルフライラ

すいません。二巻の感想書くとか言ってましたけど、ここで済ませていいですか?つうか、深見真ラノベや一般書で普通に諜報モンをガンガン書いているので、手慣れたもの。
「国家とか政治とか、そういうのは能力の限界までシノギを削り合うスパイには必要ないよね?」
とザックリ判断して
「だったら国家が学校で、政活が部活でも全然いいよね?」
みたいにマクロ規模からミクロ規模までさりげに落とした手腕は見事。
特高、秘密警察、諜報部の本部における活動の本質とは、政治的団体から委託された被疑者の思想矯正、自白、つまり「拷問」な訳。
だから陸軍中野学校という日本の諜報活動における最重要地点を女子高にすり替えている「拷問部」の存在は荒唐無稽ながらもじつはすごく根拠がある設定なのです。
「洗脳部」も同じ。「生徒会」政治団体つまり内務省国防省参謀本部に該当すると思われます。
「拷問」を軸に「拷問部」「洗脳部」「生徒会」が関係を作っているのはすごく正しい
お嬢様学校なのも、モチーフとなった陸軍中野学校は入校者が帝大、拓殖、早稲田、慶応、明治出身と当時の超エリート層が多かったから。エリートっていうのは勿論、頭脳だけじゃなくて、実家が富裕層であるとか、親がそれなりの身分を有していたとか、そういう露骨な箇所も含まれます。
だから「拷問部」全員が嫌な感じに金持ちなのも、碧生や小橋姉弟も明らかに権力者の子供なのも、設定としては正しい。
んで、二巻からおもらしのシーンがバンバンはいってくるけど、まあ、拷問だとおもらしは必須
よく映画や漫画であるのが、電気ショックの拷問を受けていた被疑者が苦痛のあまりおしっこ漏らして、そのまま電気通されて感電死しちゃうやつとか。ああ、事故死だしょうがねえな、みたいに。
だから『アイアンメイデン』のおもらしは回数少ないけどかなり貴重なわけ。毎号どんどんおもらししている『アイドルは××××なんかしませんッ!』とかよりは、はるかに重要なおもらしなんですよ。
おしっこのしずく一滴は、血のしずく一滴
深見真のブログを読んでいると、かなりの映画バカ、スパイバカっぽいのでこれは半分確信犯だと睨んでいいでしょう。

深見真のものかき日記

生徒会長の「犯罪者の生徒など存在するわけがない」ってのはトム・ロブ・スミスの冒険小説チャイルド44をはじめとするスターリン体制下のソビエト連邦じゃないですか。ところでこの『チャイルド44』、リドスコのスコット・フリー・プロダクションズが長い間版権を握っていたのですが(とりあえずスコット・フリー・プロダクションズは面白そうな作品だとなんでも版権を買い占める癖があるみたい)、リチャード・プライスが映画化するみたいです。リドスコは制作にまわるそうです

よって映画化される『ちょっとかわいいアイアンメイデン』はスパイ映画にならないといけない宿命を背負っているのだが、そのへんは任せた。

ソーニャが殺し屋だから。つうか諜報員っぽい。ていうかあぎりが忍者ですよね。忍者って鎌倉から江戸まで働いた諜報機関なので。これも僕より他の方のほうが詳しそうなのであんまり語れません。人気あるし。(くぎゅが)
へたなことは言えない。

他にも女子高生スパイ漫画ありそうだけど、全部は知らない。知ってることだけ
知ってるかたがいらしたら教えて下さい。