お願いシンデレラ

常に情報が更新されている高度な社会
ツイッターを一日離れていたら知らない間に平井和正先生とOrigaさんが亡くなっていた。ちょっと取り残されていたことに驚くが、よくよく考えればはっきり言って自分とはなんの接点もない方の訃報が手元に届くのが二日遅れようが三日遅れようが、そりゃ当たり前のことではある。

平井和正
実はあんまり知らない。世代が違う。ぼくが平井和正に興味を持った頃は宗教騒動も『幻魔大戦』劇場版アニメも過去のものだった。宗教騒動に関しては「そりゃ、人間長い間生きていればつまらんことにも引っかかってしまうしだろ」としか言えない。
幻魔大戦』は復刊した時に追いかけてみたのだが長いシリーズがどんどん復刊されていくペースについていけず、積読が溜まってしまった結果、最終的に読破しないまま古本屋に売ってしまった。「妄想大戦の歴史を振り返る」という文脈で追いかければ長続きしたのかもしれんが『幻魔大戦』自体を読む限りでは普通の能力SFアクション小説で特に下世話な興味をそそられることもなかった。「こりゃいかん」と思ってハヤカワから出ているやつを数冊読んだ程度。
ウルフガイシリーズの一巻のあとがきに大江健三郎に対して架空の手紙を書いてるのを読んで、色々世間に怒っている人なのだと思った。

Origa
攻殻機動隊 STAND ALPNE COMPLEX』に尽きる。独自のサイバーパンク観にスタイリッシュなオリエンタリズムグローバリズムを併せ持った『攻殻機動隊』に日本人のぼくにとってはOrigaさんの若干国籍不明かつ洗練された歌い方は大変にマッチしているように感じられ、作品世界のイメージ形成にかなりの部分で貢献していたと思います。

THE DAY IS MY ENEMY
THE PRODIGYの新作がでるらしい。一応買う。しかしいまいち好きではない。実績はすごいのでしょうが、それよりもNINやレディオヘッド、プライマルスクリームやマキシマム ザ ホルモンフー・ファイターズ等から感じられるような「いい大人になったのにどこにも行き場がないからロックで人生やりくりしている」感があまりなく、割かし要領のよさげな才気溢れる連中が音楽やってそうな気がするから。それは気のせいでしょうか。偏見でしょうか。色々ロックに求めすぎでしょうか。

デレマス
うひゃー。一話を観てから世界観が変わってしまった。脳のかなりの部分をこのコンテンツに浸食されている。憎い。JOYやDAMではラブライブの映像コンテンツがあるのに、アイマスは皆無なのだ。ラブライバーが憎い。羨ましい。
本編ですか。武内プロデューサー、コミュ力高いっすね。しぶりんやうずき達に「シンデレラプロジェクトやってるんで参加しませんか」って具体的なプレゼン出来るのコミュ力高いですよ! というか今後、アイドル達になにかあっても「シンデレラプロジェクトを成功させて楓さんたちみたいになるんだ!」みたいな大目標があるから今後の展開もまずブレることはないだろうし。
二話で残りの主要キャラ一気に登場したのでちょっと戸惑いましたが、それも話数を消化していく毎に解消されるでしょう。これは765プロの時がそうだったので、そう思っているのです。
デレマスはアニマスを経過してないとここまで出来なかったと思います。アニマス一話でキャラ紹介がAV撮影みたいだのなんだのと揶揄する声がありましたが、あれで蓄積された技術がデレマス一話で結実している訳でこれぞ続編の醍醐味ですわ。

猫映画
リッチな映画が観たかったというか、ちょっと大金をかけた映画にも飽きてきたので『熱いトタン屋根の猫』をDVDで。
大農園を築いた親父の誕生日に長男やら次男やらその嫁やらが集まってパーティーしている間に口論になる映画。結構普遍的な部分もあるので身につまされるところもある。かなりの問題が一気に浮上する映画なので闇鍋なのだが、綺麗にまとまって終わります。
淀川長治さんは映画解説書で「この映画はホモソーシャル」と書いていたので「またホモ認定か!」と思っていたのですが(淀川さんの映画解説本『淀川長治のシネマトーク』ではかなりの映画を淀川さんはホモ認定していらっしゃる)、終盤で「ホモだ」。調べてみると原作はホモなのだが、映画化に当たって匂わす程度のホモに変更したとの事。
この映画、とにかく嘘が嫌いというか嘘を告発しまくる。健全な映画です。まだアメリカ病んでない感じがすごくする。
次男(ポール・ニューマン)はホモセクシャル→嘘を告発する物語っていう構図は健全な精神じゃないと思いつかない発想だと思った。
無論、次男のホモセクシャルを責めているのではなく、ホモであるが故に生じてしまう嫁さん(エリザベス・テイラー)との関係や、子供が出来ないことによる遺産相続問題、ひいては病死が目前に迫っている親父との男親としての関係の精算へと議論が発展していくなど、この映画、ホモ重要よ。
さらっと黒人男性と黒人女性が執事とメイドとして扱われている描写にぎょっとするものの、1958年の作品だから、まあ、そうか。この辺は国家規模の歴史を含んだレイシズムの話になるのでまた別のラインの問題のような気もします。


カレーの国アクション
ザ・レイド』CSで。格闘技ファン、アクション映画ファンなら垂涎ものでは。とにかく格闘技アクション映画のいいところばかり集めた映画。
三十階建てのマンションにSWAT部隊が突入。目的は麻薬組織を制圧すること。上層部の命令を受けて敢行した作戦ではないので応援は頼めない。という一見、シビアな設定のガンアクションに見えるんですが、序盤を過ぎたあたりからこの設定が実はSWAT最強の四人対麻薬組織数十人が密閉状況のマンションでひたすら痺れる関節技と銃、刃物を使ってアクションを繰り広げる為に状況を限定したものだと判明します。
とにかくガンアクション、関節技主体の格闘技を駆使して一人で数人相手に闘う姿は圧倒的。さらに「床板の薄い部分を探し当てて置いてあった斧で床板を砕き活路を開く」「冷蔵庫の中にガスボンベを放り込み志向性の巨大爆薬として使用する」など『マスターキートン』によくある、ありていのものを使って反撃の活路を切り開くサバイバル要素も入っていてかなりお得感が高い。

痛快だからアクションが盛り上がると思わず声が出ちゃうんですが、これが段々笑い声になってくるんですよ。どこかユルいんです。男のみで構成された映画だから普通ならストイックでソリッドな仕上がりになるんでしょうが、これはそうならない。多分、変なカメラアングルが豊富でカット割りも多用されて音楽も頻繁に入るので「これはフィクションだから楽しめよ! お前らこういうのが好きなんだろ!」みたいな事を監督が言ってるみたいで、いっそ清々しいんですよね。
ラストで最強の敵が現れてSWAT最強の二人と闘うんですけど、戦闘が盛り上がるにつれて音楽も盛り上がっていくから高揚感を凄く煽られます。

ED曲がデフトーンズかと思ったんですけど、どうもヴォーカルのチノのソロ曲らしい。チノの独特の歌い方だとどんな曲もデフトーンズに聞こえるんですけど、これはかなりデフトーンズ寄り。どうなんだろう。


声優もガチ
『FURY / フューリー』プレミアム・エディション 日本オリジナルデザイン スチールブック仕様(初回生産限定)(ガールズ&パンツァー 特典ブルーレイディスク付)

『FURY』と『ガールズ&パンツァー』のガチコラボセット。やべえ。と思ったら本編そのものもやべえ。卵焼きに「味付け」されて泣いちゃうドイツ娘(アリシア・フォン・リットベルク)の吹き替えは西住殿の渕上舞さんじゃん!

ガン・フーアクション
現在日本での劇場公開予定なし。ビデオスルー。にもかかわらず独特の設定とスタイリッシュなアクションで公開前から話題を集めている『ジョン・ウィック』がじりじり動いている。米国版ディスクは二月予定。
愛犬を殺された復讐の為にキアヌ・リーブスがカンフーとガンアクションを融合させたガン・フーで闘うスタイリッシュアクション映画。

UK版トレイラー

艦これ
筑地俊彦の『陽炎、抜錨します!』四巻がえらく面白かった。と書けば普通なのだが、このシリーズ四回共に一定以上の「面白い」をぼくは覚えている。四回連続で面白かったシリーズというのはぼくとしては近年まれになく(あまり連続するシリーズものの小説を読んでないというのもある)これって結構大変なことというか、手堅い技術だと思った。筑地の他の著書にも興味出てきましたよ。
それとこのシリーズ読んでると駆逐艦にどんどん愛着湧いてくる。これって『艦これ』のメディアミックスを前提にしたノベライズにとってはかなり重要なことでは? ゲームに限らず原作ありきのノベライズというのは「原作ファンが喜べるか」以外にも「新規層を取り込めるか」というのも必要な要素としてあると思います。で、いままで『艦これ』や駆逐艦にあんまり興味なかったひとがこれ読んで『艦これ』に興味持ったり、駆逐艦のレベリングとかはじめたら、筑地はかなりの勝利を収めているのではないのでしょうか。

今回はミリタリ要素皆無で全部心理描写にページを割いているんだけど、これが効果的。登場するキャラに親近感湧きます。
三巻まででやってきた事が結構成果として表れている巻でもあるので、三巻まで読んでて四巻どうしようかなと思っている人にお勧め。
なんだかぼくはブログで筑地を結構な回数褒めているので太鼓持ちみたいでいやだけど、面白いから仕方ないよね。こういうのを作家の能力というんだと思います。

アニメの艦これ。ぼくのツイッターのTL構築具合に寄るのかもしれんが実況の後の考察が結構否定、肯定に分かれている上に真面目なものが多いのでよさげ。
ぼくは割と否定的な立場だけど、肯定の意見にも見る価値が高い冷静なものが結構あって、こういうのを意見交換というのではないかしら。
ツイッターの善意が集まっている気がする。
肯定の立場の人は「糞」だの「バカ」だの感情論に傾きがちな単語を使わず、アオリもせず、ちゃんとpostを読んでもらえるように書いてあるので、その辺についても色々考えさせられる。いや……ぼくはそこまで画面から読み取っていなかったのに、ツイートでは脳反射的に「カオスアニメ」だのなんだのどうでもいいことばかりpostしてすいませんでした……とか……。
今日もアニメに教わった。

百合
竹宮ジン。『想いの欠片』最終の三巻。人を愛する純粋さの強度の高さ故に童貞度が異常に高い百合。外から触った程度じゃ分解できないし、分解してしまうと組み立てるのは二度と不可能な、繊細な人間の関係で構築されている百合とゲイです。百合メインだけど。面白いんだけど、他人が絶対入れない世界だ。
基本、恋ゆえに盲目になっているひとには迷惑をかけられても寛容なので、キャパが大きい人が揃っている。
心理描写が多数を占めるので、このキャラクターには世界や人間関係がこう見えているのか、というのがはっきり手に取るように分かるのがこの漫画の醍醐味でしょう。
だからという訳ではないんだけど、驚くほどにぼくはこの漫画の背景を覚えていない。覚えているのはキャラがこう思っていた、考えていた、他の登場人物はこう見えていたという事のみ。
恋をして成長してるんだけど、成長は課題という具体的な形式を持って立ち現れるので、その辺、フックは上手いなあと思います。
完璧な恋は漫画ならでは。また解釈を読者にゆだねるのではなく、はっきりと言葉にして関係を確立していく百合(とゲイ)です。
照れを隠すために「愛しています」っていうんじゃなくて、信念があって「愛しています」って言う漫画です。ここらへんが痛々しい展開が多いのにすがすがしい所以ではないでしょうか。純粋すぎる彼女たちはどこへ行くんだろう。