紅茶の国と自由の国からきたスパイ
007 製作50周年記念版 ブルーレイ BOX 〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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CSで「スカイフォール」記念として「007祭り」という限りなく不毛なものを催しているので、俺も俺も、と一緒になって見逃していたシリーズみたり、まあ、もう一回観とくかな、みたいな感じで観ている。
観てて気付いたんだが、このシリーズってもの凄い上載せ感というか「プロットに必要要素を挟んどくぜ」的な要素がばりばりなのよ。「プロットを進める上でアクションと女を盛っておく」みたいな。
この上載せ感、コネリーからダニエル・クレイヴの時代まで、とにかく守らないとプロデューサー、監督、俳優共々死んでしまうのではないのかと思わせる程に何度も繰り返してる。
というか、なんか聞いた話だとコアなボンドオタってのは上映開始から「開始から何分目にアレが起きて、次に何分目にはコレが起きて、その次の何分目にはソレが起きる」って予想しながら鑑賞するのが通らしくて、もう展開はテンプレらしい。
なんだかいかに伝統を守るか、みたいな体育会系のノリを感じないでもないが映画制作陣は厳しい先輩の要望にけなげに応えているのかしらね。
「007は二度死ぬ」と「女王陛下の007」観たんだけど、違いが分からなかった。子供の頃観てた筈なんだけど。観てないかもね。どっち。
「二度死ぬ」は日本で活躍するやつ。故丹波哲郎が出演してことあるごとにテレビで自慢してたやつね。
「女王陛下」はジョージ・レーゼンビーが一回だけ主演したやつ。ボンドが結婚しちゃうやつね。
某サイトだと「女王陛下」って滅茶苦茶評価いいのよ。「泣けた」とか「リアル」とか「ニューシネマの影響受けてる」とかもう手放し状態。
「二度死ぬ」は評価が完全に「トンデモ本」視点。
「リアリティがない」「笑える」「設定が滅茶苦茶」「ボンドの変装に無理あり過ぎ」「完全にネタ映画」「破壊力あり過ぎ」でも俺が観た中ではエンタメとしてはボンドシリーズの中でもそうそう悪くもなし、低くもなしって感じ。
「姫路城」「ニンジャ」「ニューオータニ」「スモウベヤ」で突っ込めるから皆突っ込んでいるんであって、コレって「ラストサムライ」の評価の時と一緒だなあと(そういえば「ラストサムライ」も姫路の書写山だな)。
こんなこといってたら民主主義そのまま持ち込んだテレビの時代劇なんか観られない訳で、そんなことよりも俺は「女王陛下」のサイケデリックな催眠術作戦とか、山の上のヤンデレ系ハーレムとか、ジョージとダイアナのベッドシーンになった途端にカメラがパンして二匹の馬が映し出されるとかそういうシーンに「なんか、アレだな」と感じてしまうのです。
んで、ボンド観てる間に地上波では「レガシー祭り」として「スプレマシー」放送してた。
あれ観て思ったのは、ボンドとボーンの決定的な違いって、「リアルな肉弾戦」や「カメラワーク」「己の知恵と勇気と体力だけが味方」なのではなく、ショルダーリュックさげて脚の膝を曲げずに土踏まずから靴の底を落として早足で移動する「キビキビ歩き」にあるのではないかと。
あの歩きかたしながら不審な車のナンバー覚えたり、周囲の人混みのなかを観察したり、武器になるものはないかと絶えず目を配っているとか、バッグは背中にかけてるから両手はいつでも使えるぜ、みたないなのはブルース・リーのアクションと敵から目を離すな思想に通じるものがあるのではないかと。
男の子だったら真似したくなるよね。
「レガシー」って「改造プロジェクトの影響で身体機能を維持するクスリがないと持たない」という元祖JBのウェブ君よりも一層マゾヒスティックな「もうひとりのJB」の話ですが、「もうひとりのJB」の話って映画「スプレマシー」原作の「殺戮のオデッセイ」で「三次元把握能力が欠如しているもうひとりのJBがJBの宿敵」ってのがあって、でも「レガシー」にはちゃんと「レガシーの原作が存在している」というややこしい状況になっております。
有名な話で恐縮だけど「ボーンシリーズ」の原作って90年代のラドラムの小説なんだけど、大幅に改変してある。
ラドラムの小説だとJBってすごいオッサン臭いんだけど。翻訳の仕方に原因があるかもしれんけど。
自由間接法で書いてあるから余計に。映画JBは苦悩する殺戮マシーンとして描かれていましたが、原作はより人間臭いんでしょう。
90年代には他にも傑作スパイ小説というか諜報小説があってミリタリ方面の間では「SAS本」書いて有名なアンディ・マクナブの「二ックシリーズ」。映画の「ボーン」ってラドラム原作より、このニックに似てる気がする。
いや、勝手に思ってるだけだけど。
一人称で書かれたストイックな主人公とか、状況把握の仕方とか、手近にあるものだったら知識を駆使して武器にでも道具にでもなんにでも活用しちゃう都会のサバイバル術とか、持ってるオプションの幅と決断力高いプロ意識みたいな部分が。
そういう次第で二ックシリーズを本屋に寄ったら必ず探して、持ってないやつだったらちまちま買うようにしているのです。
『ヨルムン』二期はじまるね。総集編やって「プロジェクト・ヨルムンガンド」発言してブックマンが出てくるんなら、
原作に沿ってる展開とみていいだろ。
- 作者: ロバート・ラドラム,山本光伸
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- 作者: アンディマクナブ,Andy Mcnab,伏見威蕃
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