アニメ『ゆゆ式』がえらく面白いじゃん。
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「アルゴ」って体力必要っぽいけど、「シュガー・ラッシュ」は楽しそうじゃん!
俺の人生もあるからね。
ところが休日にアニメ「ゆゆ式」一話をそれとなくボーッと観て、終わった瞬間に「うわーっこれは言いたいことが一杯あるアニメだ!」ってなったので記事書きます。
あ、原作の評価とかはえすじさんのサイトが詳しいのでそっちに任せます。
あと、wakarahennさん。
とりあえずアニメ「ゆゆ式」のどこが面白かったのか整理の意味合いも込めて箇条書きします。
- 百合クラスタ殺しのアニメであること。
- 原作ファンが観ても面白いアニメであること。
- 百合クラスタ殺しであるにも拘わらず、普通のアニメとしても面白いこと。
- 分かり易いこと。
- 普通のアニメファンを百合アニメに取り込む普遍的な力があること。
まず、一話を観て思ったのは「絶妙なバランスで百合描写、日常描写を原作から取りこんでいる」ということ。
アニメ版って基本は原作に忠実なんですよ。
原作「ゆゆ式」は「ひだまりスケッチ」と同じく、曖昧な部分が多い作品です。そこを楽しむ作品ですけれどね。
でも、アニメがちょっと違うのは「百合描写」と「キャラ描写」を微妙なさじ加減で前後に再配置してアニメ化してあるんですよね。
一話の時点で制作側は宣言しているんです。
「これは百合アニメです」「これはキャラの日常を観て楽しむアニメです」
だからアニメは原作に比べてこの二つの要素が特化されています。
でも制作者が「これは今流行りの百合アニメにしたらウケるから百合アニメにしちゃおうぜ」とかなんと画策して同じキャラと同じ世界観を利用して内容が全く違う、金儲けの為のエゴアニメにしちゃったらファンは怒り狂いますよね。
つーか、オレも怒り狂う。
そういうのが許されるのは一部の限られたベテランだけです。
でもアニメ「ゆゆ式」は百合、キャアニメに特化する場合、原作の百合、キャラ描写をうまく再配置するとか、見せ方を変えて同じモチーフを扱うとか、そういう方法を採用しているんです。
「それって原作読み込んでないと出来ないんじゃね?」って思いますよね。俺もそう思います。
このアニメはアニメ制作側が「ゆゆ式」を徹底的に解体して再構築しているところからスタートしているんです。
監督は「かおり」。俺はこの監督、ちょっと知らないんですけれど、これはかなりのヤリ手ですね。
ともかく、こういう原作の再配置、モチーフの見方をかおり監督独自の視点によって再構成することで、アニメ「ゆゆ式」は原作の流れを殺すことなく、異常に完成度の高い百合アニメになっています。
かおり監督の再構築具合は声優の配置にまで及んでいて、メインキャストほぼ全員が百合アニメを代表格に持つ声優ばかりになっています。違うのはゆかり役の種田梨沙さんくらいじゃないかなあ。
おかあさん先生なんか堀江由衣ですよ。おかあさん先生って渾名がつくくらい、生徒に慕われていて、独特な雰囲気を持つキャラですが、そこに堀江由衣。声優としても、百合声優としても、声豚にも評価が高く、それに伴う実力を持った声優です。
つまり耳にはいってくる情報すらも百合クラスタが泣いて喜ぶ編集になっているんです。
個人的には唯役の津田美波さんがツボです。「ゆりゆり」の結衣役と言えば声優に詳しくない人でもピンとくるかしらん。
お固そうに見えて実は流され易い、甘い役柄が得意な声質ですが、唯の性格とかっちりハマってます。
この声に匹敵するのはアニメ「けいおん!」で和を演じた藤東知夏さんくらいじゃないかなあ。
ともかくこれが大変な分かりやすさを生んでいます。とっかかりやすい、といえばいいかもしれない。
一話を観て一発で「これは百合アニメでキャラアニメなんだ」ってピンときます。
この編集の妙は作画とキャラ描写にも及んでいるので「観てて気持ちいいアニメ」に仕上がってもいます。
これが普通にアニメとして面白い理由になります。
切り替えがのタイミングが良かったり、時間の短縮、時間の延長があったり、アングルに凝ったりと「キャラの味」を醸し出す為に作画技術が駆使されています。じっくり観れたり、テンポよく観れたりする。
原作四コマには「傍から見てたら恥ずかしいやりとりなんだけれど、本人達は楽しいんだろうなあ」っていう流れがありましたけれど、アニメには作画の能力がプラスされて絶品に生きています。
アニメの質としても非常に高いクオリティを保っているんです。
多分、アニメブログの作画クラスタが色んな方向から考察をすると予想します。
アニメ「ゆゆ式」はかおり監督独自の解釈と視点、語り口によって、原作「ゆゆ式」とは違う、新しいアニメ「ゆゆ式」という作品になっているんです。
個人的に一話でグッと来たのは唯が新しい制服に袖を通すシーンと、本屋で買い物計算をする唯をゆずこと緑が邪魔するシーン、唯のおさげを、ゆずこと緑が頭に載せるとこ。
原作でも登場するシーンなんですけれど、アニメ版観て「あ、このシーンはこんなに面白いシーンなんだ」って再認識しましたね。これは勿論、アニメ版独特の演出技法が採用されているからです。
「ゆゆ式」に詳しい友人が「お前、あそこに反応しなかったの?すげえいいシーンなんだぜ。いいか、まずな…」っていう説教めいたことをするのではなく、かおり監督が独自の手法で再構築しているので、原作を既に読んでいる観客のこちらが「あ、このシーンはこんなにいいシーンだったんだ」って気付かされます。
説教めいたことを言うと、唯が新しい制服に袖を通すシーンは原作では僅か十コマ。2P程度です。
アニメはこのシーンを一分以上かけてたっぷりと見せます。
これらが逆転の構造も生みます。普通の日常系アニメとしても面白いので、百合クラスタじゃないひとが観ても「あ、これは面白いアニメだ」って思える仕組みです。
四月もたけなわ。中学、高校、大学に進学して深夜アニメの面白さに目覚め、オタクの道を選んでしまった少年少女が沢山います。
悲しみの連鎖。そういう気の毒な若者を百合の世界に引き込める力を有しています。
面白いロボアニメとか、ミリタリアニメとかってロボクラスタじゃなかったり、ミリタリファンじゃなかったりしても、その世界に興味を持たせたり、強引に視聴者をそのクラスタに変えてしまう力がありますよね。
作品が人間を変えるというやつです。
アニメ「ゆゆ式」はそういう力を確実に有しています。作品として普遍的要素を含んでいるのです。
「俺、アニメ「ゆゆ式」観たけどなにも感じなかった」っていう人は、多分、心が死んでいる血も涙も枯れた権力のコントロールマシーンかなにかじゃないんでしょうか。
「俺、アニメはたしなむ程度なんだよな。漫画とか本読んだり、ゲームしたりしてたほうが楽しいんだけれど、ツイッターとかネットのアニメの話題に乗り遅れるのはちょっとイヤだなあ」ってひと。今季はアニメ「ゆゆ式」です。
もし万が一、アニメ「ゆゆ式」が大ヒットしなくても、アニメクラスタと会話する機会があった時に「ゆゆ式観たんだけれど」って話を持ち出せば、まず話題に困ることはないと思います。
アニメ「ゆゆ式」はそういうアニメに成長していく作品だと俺は予想します。
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