『けいおん!』の豊郷小学校旧校舎にいってきた。

ここ数年くらい聖地巡礼、舞台訪問の旅にハマって、イロイロまわってきた。ベテランには負けるけど。
結果、聖地には大雑把に分類して二種類のものが存在することを発見した。
「観光地そのものが聖地」と「そうではない聖地」である!

例えば『咲-Saki-』では長野編での聖地といえば山と川ばかりで観光地ではなかった。
ファンは誌面の僅かな情報から場所を特定し、ある時はキャラが住んでいると言う設定の一般家庭の家屋を撮影し、やはり聖地とされている一般の公園や普通の飯屋などで休息をとった。

しかし「全国編」及び『阿知賀編』開始の2011年前後から様相が変化する。
宮守は柳田國男の『遠野物語』だし、永水は神社仏閣と温泉街が絡んでくる。
『阿知賀』ではテレビとの連動企画ということも手伝ってモロに観光地である吉野山だ。阿知賀終了後に新たに連載されている『咲-Saki-』の外伝『シノハユ』も同じく観光地である玉造温泉宍道湖周辺であったりする。すぐ傍には出雲大社湯の川温泉街もある。

たまゆら』の竹原は観光地が舞台。『かみちゅ!』の尾道も観光地が舞台。『TARITARI』の鎌倉も観光地が舞台である。

一方、『オレイモ』の千葉、『あの花』の秩父、『電波女』の名古屋は名所はあるものの「観光地」とは言い難い。
こられの場所は「アニメがあったから観光地になったポイント」である。

まあ、どの土地にも神社仏閣は存在するし、祭りも駅も当然あるのだろうが、最初から「特定の客層が来ることを想定」していない。

小難しく仔細に、オタク的観点で表現するなら「聖地巡礼層に対し既にある程度の受容体制が築かれていたポイント」と「あまりそうではないポイント」と言えばいいのかもしれない。

今回は休暇を利用して『けいおん!』の豊郷小学校旧校舎にいってきましたぞー! 
これは「観光地そのものが聖地」である。校舎改築問題ではからずも有名になった「観光地豊郷小学校旧校舎」ありきで、『けいおん!』の舞台設定が施されているからである! すぐ近くに琵琶湖も彦根城もあるよ! ひこにゃん

放映終了から3年経過しているので、色んなサイトが紹介しているであろうし、あえて写真はべたべた貼らない。
それを物語るようにファンノートもものすごい数が堆積していた。サークルの宣伝や「けいおん!」愛表明の為の同人誌も置いてある。



特筆すべきはこの空間の異質さだろう。ぼくは今回、友人と一緒に豊郷にいった。この友人はなんというか、外面を非常に気にする男で、ぼくがジョークでアニメキャラTシャツを飲み会に着ていくと「隠せよ!」とややキレるし、メイド喫茶の横を通過するときも顔をそむけるなど、頑固というかシャイなところがある。

ところが豊郷小学校旧校舎のけいおん部室に入った瞬間、堰を切ったようにはしゃぎだしたのだ! 写真を撮りまくり、あまつさえ設置してある澪が劇中で着ていたゴスロリ衣装に袖を通してギターを持って弾きたい。そんな俺を写真に撮ってくれ! とロックなことを言いだす始末。
さらにそれを実行に移そうとする友人! 
ぼくは「ああコイツはすごく「けいおん!」愛しているんだな」と思い知らされたが、それ以上にファンのリミッターを瞬時に強制解除するこの空間も色々おかしい。再現度とファンのツボをつくポイントが異常に高いのだ。

澪のゴスロリは普通に考えて女装だ。アニメTシャツと比べたら絶対、こっちのほうがハードルが高い。
しかし夢中になっている友人は「女装」という概念にすら気づいていないようだ。
結局しなかったけど。


おれも感激で泣きそうになった!

思うに聖地というのはファンによって色んな意味付けがされる場所なのではないのだろうか。
思い入れのあるファンほどその強度は高くなるのである。そして後からファンによってさらに意味付けが強化されていく。
逆にこれ「けいおん!」にノレなかったひと、観てなかったひとには全然つまんない空間なのではないのかとふと思ったりもした。

さらにリミッターの解除された友人は旧校舎別館「酬徳記念館」にある物販所の二階にあるけいおんキャラの水着ポップまで写真に撮っていた。
このころには若干冷静さを取り戻していたらしく、「お前好きだろうと思ってさ。写真、いるだろ?」といい訳をしていたので「あ、元に戻った」と思った。

ちなみにこの「酬徳記念館」は軽い「けいおん!」資料室状態になっており、過去に販売されたフィギアやゲーム、「きらら」のバックナンバーが本棚に収まっていた。これらは寄贈品もコミだそうである。
地元の店、京アニと連携して土産物も販売している。
余計な情報だが三池崇史監督の映画『逆転裁判』の舞台にも利用されている。
三池監督ってオリジナル撮らせたら三池パワーが強烈なんだけど、原作ありきでも三池パワー発揮するから、評価しにくいんだよね……。

豊郷小学校旧校舎は現在、市の施設として使用されており、訪れた日も教育委員会の通常業務が運営されていた。
別教室ではセミナーなどが催されていた。
また定期的に講堂などを利用して映画祭、あるいは「けいおん!」にあやかってライブなどを催しているらしい。
建物は使って悪い箇所はどんどんメンテしていかないとすぐに老朽化するし、正解である。
校舎保存のための募金箱も設置してあるのでお金いれてきた。
豊郷小学校旧校舎は建築物としても貴重なので、1000万くらい寄付したいのだが。
あのクラスの建物と竣工年を考慮に入れればこれでも雀の涙だ。すまない。俺に権力とカネさえあれば……。

ツイッターで「豊郷小学校」とエゴサしたところ、ファンが自主的にイベントを開催しており、お誕生日会なんかが予定されている模様。

俺的聖地巡礼の旅恒例! 聖地の古本屋! 

ブックオフ彦根。〒522-0201 滋賀県彦根市高宮町1525-1
でかい! 大型店舗を他テナントと共有しているのもあるのだろうが。このブックオフは古着やリサイクル品なども同時に扱っている。事実上、「ハードオフ」と合体している店舗なのだ。
でかいだけあって品数も豊富。といっても既製品が安く買える、という意味ではなく、むろん絶版品切れ本が豊富、という意味である。
入店した途端、店から「さあ、存分に探したまえ」という啓示を受けた。ような気がした。当たる予感!
長年古本屋を出入りしているとこういうことがあるのだ。外れることもあるよ。そんなオカルトありえません。

発見! ハードカバー200円均一の棚からチャールズ・ストロス『残虐行為記録保管所』 
文庫にもならず、品切れ重版予定なしになっている品物である。
1000円の値札が下に貼ってあったので60%棚から落ちてきたらしい。
内容がクトゥルー+SF+スパイスリラーと若干欲張り気味。
いやー、探してたんだよ! 

アマゾンのマーケットプライスでも安価で販売されているが、わざわざ取り寄せるモノでもない。しかしブックオフにあったら欲しい品物。そういうの、ありますよね。この『残虐行為記録保管所』はまさにそういう書籍なのだ。

ところで2巻と3感が抜けて未だコンプリートに至っていない芳文社出版の原作:セルジオ関・劇画:筒美廣平の『復讐の凶獣』を探したのだが、見つからなかった。見つかるような気がしたんだけど。
ちなみに『復讐の兇獣』とは陰謀で刑務所に放り込まれたモヤシサラリーマンが獄中で肉体凶器と化し、妻を取り戻す為に地獄の復讐に挑む物語である!
芳文社といえば『けいおん!』『ゆゆ式』に代表される「きらら」のようなゆるふわ系だとおもわれがちだが、八十年代、九十年代の芳文社といえばこういうコミックスもあったのだ。咲クラスタ的な観点では八十年代には麻雀劇画を多く輩出してもいる。「きらら系」でない芳文社コミックスの中には劇画調でエロい表紙の漫画も存在するが、それらは八十年代の遺伝子を受け継いでいるのだ!

行きと帰り路ではずーっと『けいおん!』のライブCDをたれ流していたのだが、全然飽きないね!
別の意味で俺的名盤!
ところで今回は8号線を移動に多用したためか、非常に食い物屋が多い印象を受けた。今回の旅行では個人的に食い物に全く困らなかった。金がなくてもファストフード店ががんがんあるし。土地の名物なんかどうでもいい! 必要経費以外には金を落としたくない! オタグッズ買いたいから! という困った願いが叶う点でも、豊郷周辺はオタ向け聖地かもしれない。ただし、基本的に郊外なので駅から徒歩で利用するには若干遠いが。
あと、彦根城がある影響なのか、路に迷いにくいと言うか、色々な目的地への導線が整備されている印象も受けました。
彦根城はめちゃ攻略に体力と時間を使う建物だけど。当然か。

『けいおん!! ライブイベント ?Come with Me!!?』LIVE CD! 【初回限定盤】

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ひこにゃん/ぬいぐるみ Lサイズ

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