刃物バット

『新しき世界』
冒頭でいかにもな雰囲気のヤクザが捜査官が潜んでいる車の窓ガラスをゴルフクラブでブチ抜いてガン飛ばしていたら、矢張りいかにもな顔の刑事が出てきてガンの飛ばし合いになった時点で名作認定。

僕は田舎に住んでるんで上映している映画館が近場になくて、観たくとも観れず、そうしている間にもツイッターのTLで映画観て来たひとがすごいハードル上げていったのですが、それでもまだ抗えない魅力があったのでBDを待ちに待っていたのです。『県警対組織暴力』とかも最初に菅原文太がチンピラの車に蹴りいれて「わりゃ、なにやっとんじゃ」みたいなシーンみた瞬間、あ、名作、みたいな感じだったし『ドミノ』もミッキー・ロークが葉巻咥えてエドガー・ラミレスとキーナ・ナイトレイと「ゲハハハ」みたいな怖い笑い顔浮かべてた瞬間、あ、名作だ、みたいな感じだったし『アウトレイジ』『アウトレイジ・ビヨンド』もめっちゃ高そうな車に乗ってるスーツ姿の北野武とか椎名桔平とか加瀬とかの姿観た瞬間に、あ、名作って思ったんですけど『新しき世界』も完全にこっち系の顔が揃っていて、あ、名作だ、みたいな感じです。ノワールものに分類されるんでしょうけど、完全にヤクザ映画。

飯を食ってるシーンが多いんですけど、ジョニー・トーみたいに一緒に料理して仲良く食卓囲んで男の友情! みたいな感じじゃなくて狭い飯屋とかで下品な冗談交えながら陰謀が成功するだのしないだの好き勝手放題言い合うとか、部下を徹底的に言葉でいじり倒すとか、この辺り、タランティーノのノリに近い。

巨大組織に膨れ上がった三合会も負けず劣らずの韓国暴力団組織ゴールド・ムーン。あまりにも巨大になり過ぎた為に警察も有効な抑止力が見つからず、情報を入手する為に捜査官を潜入させる。ところがゴールド・ムーンのトップが死亡し相続者争いが発生。だが巨大になり過ぎた組織内では韓国系や華僑系、朝鮮族がごちゃ混ぜになっている為にただでさえ複雑な権力構造がより一層混乱を来していた。華僑系の捜査官はとりあえず自分と同じ大陸系のボンボンの世話をしつつ、組織の動向を探る。一方、警察本部はトップ死亡を契機と見做し、韓国系暴力団組織ゴールド・ムーンを完全掌握する「新世界」作戦を発動させる。作戦成功の鍵は長い潜伏期間を経てゴールド・ムーンに独自のコネクションと地位を築いた捜査官。警察は捜査官に命じていた潜入捜査を強制的に延長するしかない。警察もヤクザまがいの手段を取らざる得なくなる。

主人公、潜入捜査官役のイ・ジョンジェ、ジョンジェの上司役のチェ・ミンシク、ジョンジェと同じ大陸系の組織のボンボン役のファン・ジョンミン。この三人が特にいい。
ジョンジェは神経質そうなどこか鬱積が溜まった顔をずっとしてるし、ミンシクは本当にこいつ、人懐っこい渋い顔して悪い事するんですよ。ジョンミンのボンボンがね、これが中盤から本性を見せ始めて重要な役になるんだけど、アホなボンボンから段々憎めなくなってくるのが本当にいい。

百三十分あるのですが、苦痛になりませんでした。名作でしょう。ドライな殺しありの、人情ありの、裏切りありの、両手で掬えそうな程の流血に塗れての泥沼の殺し合いありの、心が闇に踏み込んでしまった人間故にさらなるに闇に染まらざる得ない展開はノワール。好み。相手を攻撃する際は銃器よりは鈍器や刃物の使用率が高いのは痺れる。

マイレージ、マイライフ
実は僕は『ショーシャンクの空に』を観たことがない! ありますよね。こういう「名作」の部類に入ってて「この道を楽しみたいのならこれ押さえたほうがいいよ!」みたいな作品が! しかしいまいちタイミングを逃してしまったり「名作」という言葉が逆に足かせとなって「ま……後でいいか……」みたいにどんどん後回しになってるやつ! アニメだと08小隊とか、ゲームだとサクラ大戦とか!
……という訳で観た。リストラ通告人を職業とし、世界各地を巡ってはリストラ通告をしていくジョークル。「我が家」や「家族」「親友」「恋人」といったものとの関係が希薄な彼の唯一の楽しみは飛行機を利用する度に溜まっていくレージをひたすら蓄積していくこと。1000万マイル溜まると、飛行機に1000万マイル達成者として名前を残し、フィンチ機長とサシで会話が出来るのだ! 甘いラブロマンスを軸にリストラ通告人という職業にありがちな暗いムードをフラットで軽い雰囲気と映像でサラっと料理しつつ、ユーモアも交えて物語は進展する。なんだか「ラブロマンスかよ〜」と思い込んでいたら最後の二十分でジョークルが「ま、いっか」「仕方ねえし」みたいな感じでないがしろにしてきた事が全て襲ってくるのだ! なんだよ〜結局リア充とモテが勝つのかよ〜みたいな感慨が残るけど、そういう回答は監督の回答だし、それだけにジョークルが最後にあの立場で終盤を迎えるからね。

ありのままを出したら嫌われた人が出てくる映画
アナ雪観た。相変わらずディズニーアニメは展開早い。ところで有名なあの「Let It Go Let It Go」は字幕だと「これでいいの かまわない」なのよね。吹き替えが「ありのーままでー」なのよ。これって重要なシーンだし、多分、映画会社も命賭けたと思うので翻訳は必死になったのでは? 結果として日本語で歌う「Let It Go(レリゴー)」は韻を踏む事を最重要課題として「ありのー」と翻訳したのかと思いました。歌パートは一応ミュージカル要素ですよね。

いい話。百合とか言えばそうなんだが、僕は特にそういう事は思わなかった。いや、普通の王道だなって感じで……。それよりも観ていて思ったのが『パシフィック・リム』の時もそうだったんだけど、子供の頃、夏休みの昼時に地方局が時々ハリーハウゼンの映画とか流してたのよね。あと最近は観なくなったけど金曜の夜は劇場版ドラえもん。そういうのを観ていた時の懐かしい気分を思い出してしまいました。部屋にはクーラーの冷媒ガスの臭いがうっすら漂ってて、西瓜を食べながら画面に魅入る。ディズ二ー観るといっつもそんな気分になる。

鶴翼
一巻。駆逐艦の陽炎抜錨、空母の『鶴翼の絆』という手順で読み始めた。うう、これはなあ……全然悪くないんだけど、前半がダルいと思った。
ノベライズを書いているのは内田弘樹。このひと、ミリタリのひとなのです。という訳でしょっぱなから第二次世界大戦の薀蓄がどんどん入るので、嬉しい人には嬉しいんだろうけれど、本編とはあまり関係のない情報がでてきたりするので、その都度、ちょっと鼻をくじかれる感じ。抜錨が抜群に面白いと感じた要素に「ミリタリの必要な情報は、本編と関連があるときだけ」っていうのがあって、それでストレスがなかったんだけど。

後、個人的に内田設定の一部が好きじゃなかった。攻撃を受けると菱形のバリアが展開されたり、赤城さんや加賀さんの艦載機発艦方法は弓矢を撃つとこれが艦爆機になったり艦攻機になったりするんだよね。いや、これは僕の脳内設定と違うって意味で好きじゃないってことです。アニメ版のPVを観る限りでは艦載機発進シーンは内田先生の発想が採用される、というか公式の想定していた設定に内田設定が一番近いんでしょう。

後半は見事。瑞鶴が主人公なんだけれど、後半では第二次世界大戦の瑞鶴の戦歴や性能、さらに内田弘樹の艦これ設定とうまく絡んでこれはミリタリ書いた人じゃないと書けないよな、と思ってしまった。

筑地俊彦の抜錨と内田弘樹の鶴翼しか読んでないんだけれど、艦これノベライズはシェアワールドノベルとしてはレベル高い気がする。ww2が下地になってるからその辺、書きやすい部分もあると思うんだけれど、内田と筑地の個性が見事に浮き彫りになってて、この二人を読み比べると面白い。

トマト嫌い。工場好き。
ビビオペを観はじめた。お姉さんとかももちろん大好きなんだけど、やっぱり俺ってどっかでロリコンなのかなあ。このアニメ、凄い好み。
トマト嫌いがバレたらあかねに嫌われると思い込んでいたあおいちゃんの心の闇は深そう。ひまわりちゃんとれいちゃんの闇は理由あるのでわからんでもないが、生来持っていただけにあおいちゃんは……。わかばがヘタレズでよし。 多分、この娘はひまわりちゃんにどんどん貢いでいくんだろうなあ……。貢ぐ量=愛情の量と次第に錯覚していくわかばちゃんの立派なヘタレズとしての未来が視えます! ひまわりちゃんの工場萌えは分からんでもない。実は僕も海岸沿いに並ぶ深夜の工場周辺をうろついたり、でかい煙突から炎が噴き上がっていると興奮して、恥ずかしい話だが、あの炎が噴き上がる瞬間を写真に収められんかとカメラを持って深夜の工場の入り口に潜んでいたことがある。