日記代わりにも使い始めました。

今迄割とブログには「コンテンツとして成立する記事を一本一本書かねばならん」とかいういまいちよく分からない自分ルールを定めて書いてきて、ツイッターなんかで日常の些事というか、お買いもの記録というか、ちょっと面白かった作品などをつらつらとpostしてたんだけど、ここ一年くらいアニメに限定せず、漫画、映画、小説をごった煮でブログに書いてきたっつうのもあるんだけれど、ツイッターにそれを書いて果たして後でそれを読めるか、という問題にぶち当たった。
ツイッターというSNSの寿命みたいなのも割と前から考えていて、このSNSもいつ終焉を迎えるか分かんないしなあっていうのもあって。
でもブログはサーバーが消されない限りは残るよなあ、みたいな変な思い込みみたいなのもありまして。webサイトとブログで育った世代なんで、そういう変な固定観念みたいなのが出来ています。そういう次第で些事もちょこちょこブログに書いていきます。
ブログからツイッターやってたひとが新しくnoteやりはじめたのを偶然目撃したのが決定的な気がする。
いや、noteの時代が来るかどうかわからんが、なんとなく、ああ、ツイッターSNSの一つに過ぎないのだなあと再考させられてしまったのであります。
日記の時は今回のように簡易モードで表示させ「この作品一本について集中して語りたい!」というときはこれまで通り、詳細編集モードになります。

不知火、抜錨します!
ファミ通文庫築地俊彦の『陽炎、抜錨します!』シリーズにハマってしまった。
築地のミリタリ考察とかね、築地特有の艦これの世界観とかね、後、文体がね、ミョーにフィットっていうか俺の肌に合う。展開とかもうべたべたで先が読めるんだけど、それでも面白い。後、泣いちゃうの。感動させる泣きにもっていくシーンがあるの。俺の親父化が進行しているよくない兆候かもしれんけど、凄く久しぶりに俺の好みの要素を兼ね備えているラノベを読んでる感じ。ちょっと百合臭するしね。これ百合クラスタに目配せしてるよなあ。

あのねー、好きなシーンがあるのよ。一巻の終盤近くで曳航されている(海面を引きずられている)曙が抵抗するためにジタバタすんのよ。
コミカルで可愛いんだけど、これって普通に考えてちょっとおかしいシーンじゃん?
後ね、二巻でね、高雄が敵の口に火薬を突っ込んでから零距離射撃するシーンがかっこいいんですよ。GAINAXかよ! でもこのシーンもちょっとおかしいよね?
抜錨しますっていうのは史実のミリタリと艦隊これくしょんの設定と築地独自の設定とか色々混ざってるんですよ。特に。ミリタリ描写が。
ちゃんと敵地に侵入すると無線封鎖するし、酸素魚雷もばかばか撃てない。フロチラ・リーダーとか旗艦とか、ガンルームとか、それなりにルールは守っている。で、このルールの守り方がうまい。よく幻想文学とかSFとかを評して「好き勝手やれるジャンルだから好き勝手やりたいひとがこのジャンルに流れる」とか言ってた作家がいて閉口したけど、幻想文学もSFも最低限の作者のルールがある。それがうまく設定されている奴が名作だと思う。
この、作者のルールと現実のルールがギリギリせめぎ合う瞬間が作品の面白さの秘密だと思うんですよ。多分、これに失敗すると「リアリティがない」とか言われるんだと思います。だからこれは全ジャンルに言えることなのかもしれない。
で、抜錨しますの今ここに挙げた二つのシーンは、作者のルールがギリギリ読者の持っている現実のルールに拮抗してる瞬間だと思う。
このシーンに至るまで築地は細かく慎重に自分のルールを守ってきて、読み手はその世界に没入してる。作品に思考回路を侵されいる。その瞬間に普通に考えたら、あれって思う事をぱっとやってしまう。高雄のシーンの前後は砲弾撃ち過ぎじゃね? とか思うけど、零距離射撃の時点で俺の常識は築地の作品世界の常識に負けているから、納得してしまう。多分、ここまでに築地が自分ルールを俺にちゃんと擦りこんでなかったら、俺の常識ルールが勝ってしまって、可笑しーじゃねーか、興ざめだぜ、になるんじゃないかなという気がします。

よくストパンは最初にパンツ出した時点で視聴者にこういうアニメなんだって納得させてるから細かいミリタリ考証に突っ込まれない、と言うけど、あれは冒頭のパンツ姿のインパクトが、視聴者の常識ルールを作品のルールが上回っているからだと思います。
で、いやストパンはつまんねえ、リアリティがないからっていうのは、ストパンのルールがその人のルールを上回られなかっただけじゃないかと。色んな人が観てますから、色んなルールも存在するんで、全員のルールを超えるっていうのはちょっと難しいってのはある。


ともかく抜錨はそういう作品として守るべきことをきっちり守っている良作だと信じて疑わない。陽炎と不知火可愛い。


『底知れぬ恐怖の世界 ドラキュラvsミイラ男』
というハリウッドのドラキュラものとミイラ男ものの古典映画を集めた十枚組DVDBOXを買ってしまった。これで1800円は安すぎる。
買った理由は『女ドラキュラ』収録だから。『女ドラキュラ』はレズをほのめかしているから……っていうのも正直あるんだけれど、ホラー映画の書籍を読んでると大抵この『女ドラキュラ』が紹介してあってルゴシの『魔人ドラキュラ』の正統続編だから観とけみたいにスチールをガンガン載せるくせに本編は入手しにくかった。正統続編っていうのは本当で、ルゴシのドラキュラが滅ぼされた後にドラキュラ城に女ドラキュラが住み始めて村人が城の明かりに「伯爵が帰ってきた!」って怯えるシーンがある。つまり、時間軸的にジョナサン・ハーカーとヘルシング教授がドラキュラを倒した後の設定なのですよ。
このBOX、他にもミイラ男ものが揃っていたりして豪華。ブラッドベリとか読んでるとロン・チャイニーとかカーロフとか、ルゴシとかよく分かんない、でも凄そうな伝説の俳優の名前が出てきますよね。このDVDBOXでその俳優全員が観られます。1800円ですよ〜。

血と薔薇』じゃないよ。
なんか久しぶりにアマゾンでレ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』のレビューを読んでたら百合っぽい人が「映画化希望」ってコメントしてたけど『血とバラ』が相当するよ。窓だったか扉だったかを開けたらいきなり水中に居るとかそういう幻想的なシーンが節操なく突発的に起こる映画です。

人生
川口監督がうまい。ネタがどんどん出てくるんだけど、どっかで観たような既視感が強烈。そのくせ作品としては新鮮に見られる。
雑多なギャグが観てて笑える。こういう「自分は何をやらせたら上手いか」っていうのを自覚した監督なり作家なりっていうのは強いなあ。プロデューサーもよく川口監督を選んだと思う。偉いですよ。オタク力が強い作品。

『吸血鬼ボボラカ』
ボリス・カーロフ主演。かといってマントを羽織った黒装束のカーロフが高笑いを残しながらロンドンの闇夜を跳梁跋扈するわけではない。
これはあれですわ。『ノスフェラトゥ』と一緒で悪霊と伝染病がごっちゃになってる。従軍記者と軍のお偉いさん(カーロフ)が奥さんのお墓参りに離島に行くと女の歌声が聞こえてくるのでふらふらと吸い寄せられていくと一軒家があって……という。コリンズの『白衣の女』とかポオの『早すぎた埋葬』とか色々なイメージが入ってます。DVDのパッケージには良質とあったけど、良質じゃないですか?

ミッドナイト・ミート・トレイン
クライヴ・バーカー、ビジュアル志向のホラー書いている割には実はあんまり映画化されてなくて『ヘルレイザー・シリーズ』以外になにがあったっけ……みたいなひとなので超有名短編集から一遍抜粋した映画を観る。それが『ミッドナイト・ミート・トレイン』。いや、バーカー自身は映画一杯作ってるけど、脚本は全部映画用に新しく書き下ろしてるし。

死体がぶら下っている深夜列車のなかを謎の殺人鬼から逃げ回るだけの理不尽な40P足らずの短編を100分にしただけあって色々付け足しています。
100分は長いと感じてしまいました。バーカーってひとは徹底的にエンターテイメントのひとなので映画に「街の真の姿を撮影する」みたいな社会性の強い要素を放り込まれてもファンとしては困るところもある。『ソウ・シリーズ』とか『テキサス・チェーンソー』みたいなものと共通する所があるのでアレが好きだった人はどうぞ。2008年公開なので、丁度時期的にその手の奴が流行った頃の作品。
脚本の内容でバーカーと監督の北村龍平は揉めたらしいけれど、それは揉めるわ。
映画を観られたかたはぜひ、バーカーの短編の方もどうぞ。ラストがほぼ同じなんだけれど、世界観の感じ方が全然違います。
でもこれがバーカーの原作なしの作品だったらまた評価も変わっていたかも。
基本的に残虐な拷問処刑人から逃げ回る構図。こう書くと原作と一緒なんだけどなあ……人体解体ショーもあるよ。

しかしバーカーは『アバラット』の二巻を出版してから全く情報が入ってこないのでいまなにしてるんだろうかと気になる。10年位経過してるよな。

『鉄拳』
冒頭の世界観の説明から色々おかしくて、10秒に1回は突っ込むところがある映画。それはともかく僕は「どうせダメ映画だろ」とスルーしていたんだが、友人が「意外とガチで殴ってるぜ?」「まじか」「まじで」って教えてくれたので鑑賞。

いや、全然いい。ワイヤーアクションがないっていえば嘘になるかもしれんけど、イケメン、美女が割とガチで格闘するシーンはいい。この映画は格闘が本格的なのに、前髪がやたらと長かったり、おしゃれな服を着崩したりしたイケメン、美女が数多く登場するのだ。
日本でいうと仮面ライダーとかあの辺ですよね。イケメンがアクションする。90分あっという間。冒頭、前髪を乱しながらリンキンの曲をバックに疾駆する主人公役のジョン・フーの姿はカッコいい。友人がトニー・ジャーの『トムヤンクン!』のカポエラ使いがこの『鉄拳』にも出演してるって教えてくれたから注意して観てたら、エディゴルド役で登場してカポエラをガンガン披露してました。と書くと「ガチ」って信じて貰えますか? 難点はその格闘シーンが迫力があって面白い分、短く感じられたことで、もうちょっと長く観ていたいなあって気分になります。

監督のドワイト・リトルはこの映画製作するときにナムコから「ウチのゲームを映画化するならこれだけは厳守し再現してください」という厳守項目が百個位ある契約書でも書かされたのかと思うほどゲーム版『鉄拳』の世界観を再現することに腐心しています。
それが逆におかしな要素となりつつも、ファンからしてみれば「こんな歪な形になるまで再現しちゃうんだったらもう許すしかないよなあ」みたいな感慨がある。『24』とか『ボーンズ』なんかのドラマ畑で活躍していた監督らしいので、職人に徹したのかもしれない。自分の主張は一番最後か、最初から入れる気がないか。